DifyとWordPressを連携して自動投稿する方法|非エンジニアの実装ログ
Difyでワークフローを作れるようになると、次に出てくる疑問は「これをどうやって実際の運用に使うか」です。
この記事では、非エンジニアの私が実際に行った「Dify → WordPressへの自動投稿」の構成を、そのまま再現できる形で解説します。どのように連携したのか・どこで詰まったのか・どう解決したのかまで含めて、実装ログとしてまとめています。
今回の完成イメージ
まず「何を作るのか」を先に整理しておきましょうか。手順の前に全体像を把握しておくと、各ステップの意味が分かりやすくなります。
全体構成
今回の連携はシンプルな3段構成です。
Dify(記事生成)→ GAS(中継)→ WordPress REST API(下書き保存)DifyからWordPressのREST APIに直接POSTする構成も試みましたが、エックスサーバーが海外IPからのアクセスを制限しているため、Google Apps Script(GAS)を中継に挟む構成に落ち着きました。この点は後の「詰まったポイント」で詳しく説明します。
できること
この構成で実現できることは2つです。
1つ目は記事本文を生成して自動で下書き保存することです。Difyのワークフローが実行されると、WordPressの管理画面に下書き記事が自動で追加されます。
2つ目は手動確認後に公開できる状態を維持することです。全自動で公開まで行わず、下書き状態で止めています。品質の確認と微調整をしてから公開する運用にしています。なぜ完全自動にしないかは後述します。
連携に必要な準備
構築を始める前に、WordPress側とDify側の両方で準備が必要です。どちらか片方が整っていないと途中で止まるため、先にまとめて確認してください。
WordPress側の準備
WordPress側で必要なのは2つです。
REST APIの有効化は、WordPressのデフォルト設定でほぼ有効になっています。ただし、セキュリティプラグイン(例:Wordfence・SiteGuard)が入っている場合はREST APIをブロックしていることがあります。https://あなたのドメイン/wp-json/wp/v2/posts にブラウザでアクセスして、JSONレスポンスが返ってくれば有効です。
Application Password(アプリケーションパスワード)の発行は、WordPress 5.6以降で使える認証方式です。WordPressの管理画面から「ユーザー」→「プロフィール」→「アプリケーションパスワード」の欄で発行できます。名前は何でも構いません。発行されたパスワードは一度しか表示されないため、必ずメモしてください。
認証はBasic認証で行います。形式は ユーザー名:アプリケーションパスワード をBase64エンコードしたものをAuthorizationヘッダーに渡します。
Authorization: Basic [Base64エンコードした認証情報]Base64エンコードはターミナルで echo -n 'username:password' | base64 で取得できます。
Dify側の準備
Dify側で必要なのも2つです。
記事生成ワークフローは、タイトル・本文・カテゴリをそれぞれ変数として出力できる状態にしておきます。1つのLLM出力からすべてを取り出すより、それぞれ専用のノードで生成した方が後の整形が楽です。
HTTPノードは、Difyのワークフロー上でPOSTリクエストを送るためのノードです。GASのエンドポイントにJSON形式でデータを渡す設定をします。Difyのワークフロー設計の基本は[Difyワークフローの作り方](https://bizinets.life/dify-workflow-build-guide)で解説しているので、ノードの操作が初めての方はそちらも参考にしてください。
DifyとWordPress連携の構築手順
準備が整ったら構築に入ります。はじめて連携を組む方は、この順番で進めてください。途中を飛ばすと原因の特定が難しくなります。
STEP1:記事生成ワークフローを作成する
まず記事本文を生成するワークフローを完成させます。この段階ではWordPressへの投稿は行いません。
LLMノードでタイトルと本文を生成し、それぞれEndノードで出力できることを確認してから次のステップに進みます。ワークフローが動いていない状態でHTTPノードを追加すると、問題の切り分けができなくなります。
出力変数として最低限必要なのは次の3つです。
title:記事タイトル(テキスト型)content:記事本文(Gutenberg形式のHTML)status:投稿ステータス(draft固定)
STEP2:HTTPノードを追加する
記事生成ワークフローの末尾にHTTPノードを追加します。設定は次の通りです。
メソッド:POST
URL:GASのデプロイURL
Content-Type:application/json
Body:JSON形式で title / content / status を渡すこの段階ではGASのエンドポイントURLはまだ仮の値で構いません。STEP3のGAS設定後に正式なURLに差し替えます。
STEP3:GAS側の設定(WordPress APIのラッパー)
GASでWordPressのREST APIへリクエストを中継するスクリプトを作成します。GASの設定手順とコード全体は[DifyとWordPressを自動連携した実装ログ](https://bizinets.life/dify-wordpress-gas-403-log)で公開しているため、ここではポイントのみ説明します。
GASの基本構造は次の通りです。
DifyからPOSTされたJSONを受け取る
↓
トークン認証(不正リクエストを弾く)
↓
WordPress REST APIにPOST(記事を下書き保存)
↓
結果をJSONで返すGASをデプロイするときは「ウェブアプリとして導入」→「アクセスできるユーザー:全員」に設定します。デプロイURLをコピーして、STEP2のHTTPノードに設定します。
STEP4:データを整形する
LLMが生成した記事本文をそのままWordPressに渡すと、JSONが壊れることがあります。私が詰まった箇所でもあります。
本文にダブルクォートや改行が含まれる場合、JSON文字列として正しくエスケープされていないとGASで SyntaxError になります。対処法は、HTTPノードの直前にCodeノードを挟んでエスケープ処理を行うことです。
function main({ title, content }) {
return {
title_safe: JSON.stringify(title || "").slice(1, -1),
content_safe: JSON.stringify(content || "").slice(1, -1)
};
}このCodeノードの出力変数 title_safe と content_safe をHTTPノードのbodyに使います。
STEP5:テスト実行で確認する
設定が完了したらDifyのワークフローを1回実行して、WordPressの管理画面に下書き記事が追加されることを確認します。
確認すべきポイントは4つです。
- WordPressに下書き記事が追加されているか
- タイトルと本文が文字化けしていないか
- 本文の改行が正しく反映されているか
- ステータスが
下書きになっているか
最初のテストは必ず1記事だけにしてください。問題があっても1記事なら修正が簡単ですが、30記事を一気に実行すると修正コストが大きくなります。
実際に詰まったポイント
3つの詰まりポイントはいずれも「知っていれば防げた」タイプです。同じ状況になったときの参考にしてください。
403エラー:DifyのIPがブロックされていた
最初のテストで即座に403エラーが出ました。エラーログを確認すると 403 Forbidden という内容でした。
原因はエックスサーバーが海外IPからのアクセスを制限していたことです。DifyのサーバーはIPが海外に分類されるため、直接WordPressのREST APIを叩くとブロックされます。
解決策がGAS中継です。Googleのサーバーはエックスサーバーにブロックされないため、DifyからGASにPOSTして、GASがWordPressに代理でリクエストを送る構造にしました。詳細な設定手順とGASのコード全体は[DifyとWordPressを自動連携した実装ログ](https://bizinets.life/dify-wordpress-gas-403-log)にまとめています。
JSONエラー:本文のエスケープ不足
GAS側でリクエストを受け取ったときに SyntaxError: Unexpected token が発生しました。
原因はLLMが生成した記事本文にダブルクォートと改行が含まれており、JSON文字列として不正な状態になっていたことです。LLMは指示に忠実ですが、生成物を「JSONに入れる」意識はありません。
解決策はSTEP4で説明したCodeノードによるエスケープ処理です。JSON.stringify() で一度文字列化してから前後の " を除去する方法が一番確実でした。
文字化け・改行問題:Gutenberg形式への対応
WordPressに記事が保存されたものの、本文が改行されず1行の長い文章になっていました。
原因はWordPressのブロックエディタ(Gutenberg)が専用のコメント構文を使う仕様だったことです。通常のHTMLタグだけでは正しく表示されません。
<!-- wp:paragraph --><p>テキスト</p><!-- /wp:paragraph -->
<!-- wp:heading {"level":2} --><h2>見出し</h2><!-- /wp:heading -->解決策はLLMノードのプロンプトに「Gutenberg形式のブロック構文で出力してください」と指示することです。サンプルのフォーマットをプロンプトに含めると出力が安定します。
改善ポイント(実運用)
動くようになったあと、運用を通じて改善したことが2つあります。
完全自動にしなかった理由
最初は「生成 → 即公開」の完全自動化を目指していました。しかし実際に動かしてみると、LLMの出力品質にムラがあることが分かりました。
3記事に1回程度、見出し構造が崩れていたり、文体が途中で変わったりする記事が混じります。自動公開にしていたら、品質の低い記事がそのまま公開されていたことになります。
下書きで止めることで「確認 → 微調整 → 公開」の3ステップを維持できています。AIが作った下書きを人間が確認してから公開する、この設計が今の品質担保の仕組みです。
下書き運用のメリット
下書き運用には品質担保以外のメリットもあります。
内部リンクの追加やSEOメタ情報の確認は、公開前に人間が行う方が精度が高いです。また、Difyで生成した本文に対して「この部分は事実と違う」「このデータは古い」という確認が必要なケースも出てきます。AIが苦手な部分を人間が補う役割分担として、下書き運用はちょうど良いバランスだと感じています。
この構成を応用するとできること
DifyとWordPressの連携が動くと、応用の幅が広がります。実際に検討・実装したものを紹介します。
記事の量産については、Difyのイテレーション機能を使えばキーワードリストから複数記事を一括生成できます。ただし量産した場合でも下書き確認は省かない運用にしています。
SNS連携については、WordPressに投稿完了したタイミングでGAS経由でX(旧Twitter)への投稿文も生成・保存する仕組みを追加できます。
データ管理については、GASとGoogleスプレッドシートを組み合わせることで、生成した記事のキーワード・投稿日・ステータスを一元管理できます。重複コンテンツの防止にもなります。
まとめ
DifyとWordPressの自動投稿連携は、非エンジニアでも構築できます。ただし「Difyから直接POST」ではなく、GAS中継が必要になる環境(エックスサーバー等)があることを知っておくと詰まりが少なくなります。
今日できる一歩は「WordPressのApplication Passwordを発行して、REST APIにcurlでリクエストを送ってみること」です。これが通れば連携の土台ができたことになります。
重要なのは完成度より「まず動かすこと」です。最初は下書き投稿だけに絞り、動いてから機能を足す順番で進めることをおすすめします。
AIを使った仕組みを「作る」だけでなく、「どう設計して成果につなげるか」については、bizinets.biz の[サイト設計思想](https://bizinets.biz/site-design-philosophy/)で体系的に解説しています。
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